自己紹介が済むと、すぐさま質問が飛んだ。
名前どういう字?」「年幾つですか?」
緊張しながら答えると、
「ヘェ、珍しい字〜」「若いッスねえ!」
好意的な素早いレスポンスが銀玉となって心のチューリップにすぽっと入った。
チューリップがパカパカと開き出す。
テーブルを挟んだ向かい側には、既にフィーバー状態の青年がエロ話と真面目な話を交錯させている。
「君、キャラ変わったよねえ?」女の子が彼に言う。「昔はクールだったのに」
「本当にクールだったの?」とても信じられない。
「そーだよ。昔は何人の女を泣かしたことか」ふふん、とフィーバー青年。
「で、今は笑わしてるわけ?」
皮肉は届かなかった。
彼は会話の最中にもしきりにカノジョといちゃついている。
隣の純朴そうな胃弱の少年が、
「はぁぁぁぁ〜、いいな〜、俺もカノジョ欲しいぃぃ〜」
と情けない声を絞り出す。
純朴少年の隣には物静かな大食漢。
さっきからテーブル上のお菓子をむさぼり続けている。
よく食うなァと見つめていると、「うまいッスよ、コレ。はいどーぞ」と取り分けてくれる。
なかなか気のいい兄ちゃんだ。
「君達の服装かぶってない?」県外在住の伊達者が、フィーバー青年と大食漢の黒のフリース地ジャケットに注目。
フィーバー青年いわく「あっ、似てる。これ安かったんだヨー。」
大食漢「俺のは高いヤツです(−−#)」
しばらくして伊達者のカノジョが純朴少年と席を入れ替わった。
ちら。う、かなり可愛い……。こほん。
「お酒は飲めます?」 「あ、はい」 「いいですねえ、今度一緒に……」
「あーっ、狙ってるよ!」
フィーバー青年が伊達者にチクる。ムカ。
と、まあ野郎どものテーブルはこんな感じ。
かなり打ち解け、メアドの交換なんかもしてました。
女性たちはというと、テーブルの対極に陣取り、県内病院勤務のカウンセラーS先生を中心に何やらゴニョゴニョ……。
誰も動かん。ケツの重いお嬢さんばかりなのかあ?
おーい、綺麗どころ、こっちゃ来い!!
やがてもの欲しそうな視線に気付いたのか、ややあってスタッフの女性がコーヒーを運んできた。
「コーヒーだけはたくさんありますから。お代りの欲しい方は?はい、ではレディーファーストで」
他の女は何してる?やはり山の如し。
ん?よく見ると女性陣にひとりだけ髭をたくわえた男が混じっている。ずるいっ。
髭男だけハーレム状態じゃねえか。でも自分より強そうだ。ここは仲良くしといたほうがお得か……。
(後で聞いたら彼はスタッフのひとりだそうで、女性たちと何か真面目な話をしていたらしい。)
結局、男同士、女同士で固まってた。この点は次回改善したいところ。
あっという間に時間が過ぎた。みんないいヤツで楽しかったよ。
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