INFO
投稿者 Tさん(新潟県在住、既婚・子有り FTMts)
乳房切除手術レポート (於 埼玉医科大学総合医療センター形成外科)

@ 経過

03年
5月より、千葉県浦安市のAメンタルクリニックに月1回程度通い始める。
6月から同時進行で同市内のTメンタルクリニックに通う。
04年
1月、Aメンタルクリニックよりファースト・オピニオンが出る。
2月、Tメンタルクリニックよりセカンド・オピニオンが出る。
埼医大初診。
同大のジェンダークリニックで手術の許可がおりる(3月に手術予定)

…と、ここまではすこぶる順調でした。
「月1回程度ならば」と通院時の出費と子守りを配偶者が助けてくれたからです。
しかしいざ手術が決まってみると、幼子たちの預け先のことで思い悩むことになりました。入院日数が、新潟など遠来の患者は4日間必要なのだそうです(近場の人は3日)。
また、入院前に術前検査のために足を運ばなくてはならないし、退院後も10日ばかりの間に3回も処置・診察に出向かなくてはなりません。
転勤の引継ぎで忙しい配偶者に8日も丸々面倒を見てもらうわけもいかず困り果ててしまいました。比較的融通のきく夏まで待とうかとも考えました。
このことを埼医大のH先生に相談したところ「術前検査は新潟で済ませてもよい」とのことでしたので、ちょっぴり元気回復。
REALIVEのスタッフに適当なところを開拓・紹介して頂きました。
で、3月、新潟市内のTレディースクリニック、U内科医院にて術前検査を受ける(検査データは郵送)。
埼医大入院。

保育園デイサービス、ファミリーサポートセンター、春季休業中の幼稚園預かり保育、ご近所の方に電話しまくって、入院中の子どもの預け先を確保。とりあえず手術を受けることができました。
しかし後のことはなーんにも考えず見切り発車してしまったので、病室で一人悶々「退院後の通院をどうしよう」と悩むはめに。
またまたH先生に相談。そうしたら、すぐに新潟大学形成外科に宛てて手紙を書いてくれました。

4月、新潟大学歯学総合病院形成外科初診。ドレーンを抜く。
3回目の受診で完全抜糸。

手術以外の大部分を新潟でできたのはとても助かりました。子どもが幼稚園に行ってる間に用が足せますから。
新潟での受診に尽力してくださったREALIVEスタッフおよびS先生に心より感謝します。


A 埼医大の様子

込んでいてかなり待ちます。お仲間さんは大抵パートナーや保護者と来ているようでした番号札で呼ばれますから、名前の心配は要りません。
初診の場合、問診表に書き込みますが、電話番号やメールアドレス欄は記入した方がいいです。私の場合、H先生から直接電話を頂いたり、メールが届いてたりして、非常に助かりました(えらいびっくりしたけど……)。
また、希望する呼称の欄に書いた名前が、入院時の表札等に使われますので、ここも大事です。

<形成外科病棟>

男女混合の8人部屋に入れられました。ナース・ステーションの目の前の部屋で、緊急に手術が必要な人ばかりが入っています。他人に構う余裕のある人はまずいません。
その上皆いつもカーテンで間仕切りしているので、干渉されることは殆んどありませんでした。
看護士さんはGID患者の扱いに慣れています。当然のように希望の性のパジャマを手渡し、尿検査の容器を希望の性のトイレに置いてゆきます。余談ですが若い女性看護士が多くて華やかです……。
私は勝手がわからずに診察券を本名で作ってしまったため、表札は通称名なのに、薬袋や配膳のネームが本名になっていました。手配しなおそうとしてくれた看護士さんがいたのですが、退院日だったので遠慮しました。診察券を作るときは事務員に相談しましょう。

<手術・入院生活について>

手術の前日にシャワー。
その後、処置室で胸のデザインをします。担当の医師が現時点での胸の写真を撮ったり、大きさを計測、計測値を計算式に代入して切る場所を決めます。
胸を中心にマジックで沢山の印がつけられていきます。乳輪は成人男性の平均値でいいかとか乳頭はどんな感じにしたいかなど話し合います。乳房が小さい場合は乳輪のところから不要物を取り出し、大きい場合は横を切ります。私は前者でした。どちらになるかは初診時に教えてもらえます。
浣腸。「本来は10分、最低でも5分我慢して」と言われるが4分台でフライング(入院中浣腸が一番辛かった;)
看護士がペアになって腋の毛を見に来ます。生えていると剃られます。処理してあると何もされません。
薬を飲んで絶食絶飲状態で寝ます。

当日。
ベット上全裸で待ちます。ベッドごと手術室へ移動。麻酔であっけなく眠ります。
驚くほど目覚めは爽やかで痛みはほとんどなく、看護士さんにあきれられました(痛みがひどくて退院を一日延ばしてほしいと訴える患者も多いのだとか。痛みには個人差があるようです)。
この日一日は絶食。尿留置カテーテルも外せません。一日中ベッドです。2時間おきに看護士さんがドレーンをしごきにきてくれます。

翌日、尿留置カテーテルと点滴とが外れ、自由に動き回れます。食事も始まります。
退院後に備えてドレーンのしごき方を練習します。夜中は看護士さんがしてくれます。

退院日。
朝、自分で洗髪できるほどに腕は上がります(これも個人差があるかと思います)。
荷物を院内から宅急便で送り、退院手続きをします。

<不満な点>

連日痒みを訴えているのに、誰もばんそうこうを換えてくれなくて、ばんそうこうかぶれになったこと。
H先生が術後1回も回診に来てくれなくて不安だったこと。
(↑後でメールがあって、病棟に行ったときには既に退院していたこと、ばんそうこうかぶれを心配していること、などが書いてありました)


B Tレディースクリニック、U内科医院の様子

Tレディースクリニックの院長先生は話の分かる方で、今回のようなケースはいつでも受け入れてくださるそうです。が、分かっているのが院長だけなので、看護士が事あるごとにフルネームで呼んじゃう(受付だけは番号制です)。
産婦人科なので女ばかりで入りづらいかな〜と憂慮していたのですが、妊婦の夫らしき人が結構混じってて、気楽でした。人気の産婦人科らしく大変込み合います。
尿、血液、心電図等の検査をしました。X線写真撮影は院長の指示でU内科医院で。
U内科医院はTレディースクリニックから徒歩数分の場所にあります。あまり込んではいませんが、技師が来ないのかだいぶ待ちました。X線写真撮影。
会計はTレディースクリニックでまとめて行いました。
バス停が近くて新潟駅からの行き来が楽でした。


C 新潟大学病院の様子

<形成外科>

埼玉県WメンタルクリニックT先生および埼医大精神科の先生と面識があるという、若い男性医師が担当。埼医大からの手紙に忠実に処置をしてくれました。GIDに興味があって勉強もしているような感じ。
初回、この医師に、呼び出しの際フルネームで呼ばれてしまったので、「名字だけでお願いします」と言ったところ、次からは守ってくれました。事務員にも会計時の呼び出しに気を遣って頂きました。
REALIVEスタッフに再手術できそうか?」と訊かれていたので、質問してみました。
答えは「技術的には問題ないが、新大にジェンダークリニックができないと手出しできない」とのこと。埼医大ジェンクリで再手術のGOサインが出たとしても、新大でそれを請け負うのは現在は無理。でも「傷痕を目立たなくしたい」レベルの相談なら受け付けてくれるそうです。

以上。

Tさん、ご協力頂きありがとうございました。
<< 体験談/レポートのページへ戻る